2018/08/23

【ブラジル音楽ミニストリー報告】音楽教室から生きる力を養う教室へ

JELAが支援するブラジルの音楽ミニストリーに関する最新報告が届きました。報告者は徳弘浩隆牧師です。

今回は音楽教室の報告ではなく、料理教室のような内容です。最後まで読んでいただけると、子どもたちが成長するように配慮されたミニストリーであることがご理解いただけると思います。



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「今度の教室では、お料理教室するから楽しみにね。みんなおいでよ!」と子どもたちのメッセージグループに書き込むと、女の子たちの「えー、結婚して困らないように勉強しなきゃ(笑)」というような返事が飛び交いました。

農業に携わっていたサンパウロ教会のメンバーが私たちの働きに共鳴して、毎月卸価格でオレンジを大きな袋で届けてくれます。健康的なおやつの時間にスープとパン、果物に、ジュースを出していましたが、ジュースは粉末のインスタントだったので、より体に良いものをということでのお申し出でした。


喜んでご好意をお受けして、さっそく試しに通販で買った業務用のジューサーで半分に切ったオレンジを「ギューン、ギューン」とすってみて、とってもおいしい栄養いっぱいのジュースの出来上がりです。「これならいける」と思いました。でも、搾りかすのオレンジの皮を見て「うーん、これももったいないなぁ」と思い、ジャム作りを思い立ったのです。早速簡単ジャムの作り方を調べてやってみました。大人のメンバーには好評でしたが、子どもたちに食べさせてみると「うーん、にがい。。。」とあまり喜んでくれません。


そこで、Jorgeさんが苦味を取る砂糖菓子(オレンジピール)を作る方法を教えてくれたのです。苦味を取るには、搾りかすから白い筋のところを全部取って、鍋で3-4回煮る必要があります。これをきっかけに、今回のお料理教室となりました。

お料理教室当日、「JorgeさんとSoniaさんのお料理教室」という看板を作って、教室の小型ホワイトボードに下げておくと、みんな神妙にしています。男の子はやんちゃすぎる子が多いので、外でサッカーするか見学だけということにしました。音楽もパソコン教室も目が届かないので3時のおやつの時間まではお休みです。いつもスタッフでお手伝いしてくださるJorgeさんとSoniaさんを、今回は「お料理の先生」として紹介しました。そして、お料理といっても、ぜいたくな夕ご飯メニューではありません。オレンジの皮を使って作るジャムと砂糖菓子だということを説明しました。
お菓子作りを指導するJorgeさん(左から2番目)とSoniaさん(左端)

子どもたちに手を洗わせて、順番に数人ずつ包丁を持たせて、オレンジの皮を細く切っていきます。笑いながら、楽しそうに切っています。いつもはあまり集中しなくて、喧嘩したりもする子もこの日は楽しそうに参加しています。男の子たちも、カウンターの外から興味津々で見ています。
オレンジの皮を切る作業に興味深々の子どもたち



いくつもいくつも切って、何度も何度も鍋で煮て、砂糖を溶かしたカラメル状の鍋の中に投入。時々飽きておしゃべりに行ったりする子もいますが、結構頑張っています。包丁の持ち方から教えて、なかには「ねえ先生、箸の持ち方も教えて」と、子どもたちも楽しそうにやっています。そうしている間に、最初の鍋が出来上がりです。みんな恐る恐る食べてみたら「おいしい! もっとちょうだい!」と奪い合いです。覚えたばかりの箸の持ち方で一生懸命取り上げて食べる子もいます。みんな大満足。


JorgeさんもSoniaさんも、とっても嬉しそうに優しく教えてくれました。そして、おまけに「お米のポン菓子」も作ってくれました。残ったご飯を捨てないで、水につけておいて、そのあと天日に干して、フライパンで炒って砂糖をかけたら出来上がり。これも、子どもたちはお替わりにお替り。大人気でした。



「今日のお料理教室はねぇ、お金をたくさん使った、ぜいたくなお料理じゃないでしょ。材料はほとんどタダなんだ! 黙ってたら捨てるはずだったオレンジの皮を使ったんだよ。先生が捨てないできれいに集めてると、『先生、どうして捨てないの?』ってミカエリが聞いてたでしょ。僕らは捨てないで、なんでも利用して、節約して、大切なことにお金を使うんだ。オレンジも、皮のところに一杯ビタミンCがあるんだよ。捨てたらもったいない。日本人は、スイカの皮も捨てないで、白いところをきれいに切って、お漬物を作ったりもするんだよ。みんなも、お金がない時でも、おかずやおやつが作ってあげられる素敵なお母さんになって欲しいんだ。」と説明しました。


その日は最後まで、子供たちはいつになく素直でいい子でした。少しでも覚えてくれて、いつか人生で役に立ったらいいなと、スタッフ一同祈りながら続けていきたいと思います。


音楽教室だけではなくて、子どもたちの生きる力を養う素敵な教室に成長していると感謝しています。看護婦さんやお医者さんや弁護士さん、いろんな人が教会に通っていますから、毎月一度は子どもたちの講座をしてもらおうと思っています。これからも、お祈りとお支えをよろしくお願いいたします。

徳弘浩隆


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