リラ・プレカリア(祈りのたて琴)は、12月1日にルーテル学院大学のチャペルで特別公開講座「看とりの音楽 ~アイルランドの背景から~」を開きました。講座では、アイルランドから来日されたショーンさんのホイッスルを中心に、守安功(いさお)・雅子夫妻に加えて大阪から車で駆けつけた上沼氏と西川さんの5人による90分のレクチャーコンサートを開催しました。
クリスマスに備えるアドヴェントのこと、アイルランドの風習、アイルランドの看とりと葬儀について、死が終わりでなく次の世界への移行であること、悲しいけれど恐ろしいことでなく祝いごとでもあること、楽譜ナシで覚えるそれぞれの伝承される曲の背景等レクチャ―を挟んで演奏され、参加者(83名)はその音楽に酔いしれました。
(リラ・プレカリア/ヴォイス指導担当・中山康子)
以下に参加者の感想の一部をご紹介します。
★ まず驚いたのが、ショーンさんは楽譜を介さず、アイリッシュ伝承音楽を5000曲以上覚えておられるということです。この「楽譜なしで」というのが、リラ・プレカリアの音楽の習得方法と合致していると感じました。目から入れ「頭で記憶する」のではなく、耳から入れて、自分の奥底に定着させていく伝承音楽の柔軟さは、リラ・プレカリアに通じるものがあると思いました。
★ 何よりも驚いたのがお葬式の音楽が何とも「悲しくなく」、むしろ踊りたくなるし、実際に踊るそうです。葬儀というと死を悼むものという意識が強いのであるが、まるでこれからの「新しい出発」を一緒にお祝いしているようにさえも聞こえました。戦死した英雄、送別のための曲も同様にいわゆる短調ではなく、懐かしい調べが展開されていた。またハープの音色も笛とマッチしており、まさに「看取りの音楽」としての可能性も大きいことを十分に感ずることができました。
★ あまり看取りの音楽という感じは受けませんでした。印象的にはパレードが近づいて来て過ぎ去って行くように感じました。現れては消えて行く、時空間のような、般若心経の「空」的なのか? よくは解っていないのですが、寄り添うとは違うまた別の要素なのではと思いました。
★
看取りの音楽というテーマでしたので、悲しみに寄り添うような静かな音楽だという
イメージを持って聴きに行きましたが、実際に聴いてみるとリズムも軽快で明るく楽しい音楽でしたので驚きました。亡くなった方の棺の周りで踊るという死者の送り方もさることながら、軽快な音楽でありながら体の奥に深く透き通ってくるようで心を揺さぶられました。
Photo by Peter Reis |
【関連リンク】
日本福音ルーテル社団(JELA)