2016/03/15

【世界の子ども支援】 カンボジア水プロジェクト 終了報告書が届きました

JELAが連携して活動するカンボジアの組織「Life with Dignity(LWD)」は昨年、同国の農村部に貯水槽、ポンプ、水道管等の設備を伴う水道供給システムの建設プロジェクトを実施しました。この働きにJELAは財的支援を提供し、現地調査にも加わりました。

プロジェクトは昨年12月に完了し、このたびその報告書がLWDから送られてきました。そのエッセンス部分を以下にご紹介いたします。

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水道管敷設作業を手伝う住民
当プロジェクトは2015年1月~12月の期間で実施されました。プロジェクトの対象はカンボジア・コンポンスプー州のTeuk Thla村およびMean Serey村で、住民向けの説明会にはじまり、実施方針・設備の設計等に関する協議を丁寧に重ねつつ進められました。作業のモニタリング・評価も入念に行われました。

給水システムは、大型の貯水槽と、集落に隣接する湖から貯水槽に水を汲み上げるポンプ、そしてその水を各家庭に供給するための水道管から成り、266世帯に水を供給する設計になっています。

この新たな設備を得たことによって、コミュニティには三つの利益がもたらされます。
家畜の世話をするTeuk Thla村の住人
  1. 水源安定化による天候変化への対応:大容量の貯水槽を得たことによって、乾季にも安定的に水を得ることができるようになった。
  2. 生活水準の向上:水が直接家庭に安価で供給されるようになったことで、水汲みに多大な時間・労力を使ったり、水の購入に大金を費やしたりする必要がなくなり、収入獲得の機会が増えた。
    •  以前は60リットルの水を買うのに5,000リエル(約1.25米ドル)が必要だったが、この給水システムでは、1,000リットルの水がわずか2,000リエル(約0.50米ドル)で手に入る。
  3. 社会的・環境的好影響
    • 水へのアクセスの容易化によって村内の衛生環境が大幅に改善した。
    • 水汲みの時間がなくなったことによって、子どもたちが定期的に学校へ行けるようになった。
    • 乾季にも野菜の栽培ができるようになり、健康的な食生活や、野菜の販売が可能になった。
    • 森林保護など、自然環境に対する住民の意識が向上した。
マンゴーに水を遣るHeng Samnangさん
住民は当プロジェクトの成果に満足し、喜びの声を寄せています。
Mean Serey村の60歳女性、Heng Samnangさんは次のように述べています。「給水システムによって日々の生活に必要な水を容易に得ることができるようになりました。マンゴーの木への水遣りに特に役立っています。このプロジェクトが始まる前は、水を買うのに月60,000リエル(約15米ドル)も払っていましたが、今は20,000リエル(約5米ドル)で済みます」。

当プロジェクトの計画・実施を担ってきた現地の「給水システム管理委員会」は、今後も責任をもって当システムの適切な維持管理に努めることを表明しています。

貯水槽(容量15,000立方メートル、高さ12メートル)

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