2018/11/08

【信仰書あれこれ】デボーションのための好著


O・ハレスビー著『みことばの糧――日々新たに』(鍋谷尭爾訳、2000年、日本キリスト教団出版局、原著1932年)をとりあげます。

著者は本書の出版意図を次のように説明します。
「ここにもう一冊の『みことばの糧』(デボーションの本)を送り出すことは、……私の家庭礼拝の経験から言えば、この種の本は時々、取り替える必要があるからです。何年も毎日、同じ本を使ったならば、しばらく休ませると良いでしょう。そうすればもう一度使い始めた時、新鮮さをおぼえるに違いありません」。(3頁)

異なる二日間に同じ聖書箇所から語られる内容を、以下にご紹介します。

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1月9日(19~20頁)
  • <聖句> この方の御心を行おうとする者は、私の教えが神から出たものか、私が勝手に話しているのか、分かるはずである。(ヨハネ7・17)
  • <説明> 今日ほど、ノルウェーで、多くのクリスチャンがいた時代はありませんでした。それと同時に、これほどの不信仰者のいる時代もありませんでした。わずか数十年前までには、聖書が神のことばであることを疑う人は少数でした。ところが、今日では、知的な人であろうと無学な人であろうと聖書が神のことばであることを疑う人は多いのです。……以前には疑問を持つ人が少なかったのを、特別に称賛する必要はありません。それはキリストについての神のことばを個人的に体験することなしに、社会全体がそうであったからです。……しかし、聖書は神のことばであるという一般的な気運に賛同しているからといって、魂が救われるわけではありません。とくに、聖書の権威が疑われるようになると、この立場はもろいのです。これが今日起こっているのです。
     疑いには二種類あります。一方の立場は、良心によって自分の生活が責められる時、自分のあいまいさを弁護します。一方の立場は、自分が疑っていることを悲しみ、あいまいさを断ち切って、静かな動くことのない確信に到達したいと願っている人々です。……これに対してイエスは言われます。「この方の御心を行おうとする者は、誰でも私の教えが神から出たものか、私が勝手に話しているのか、分かるはずである」。イエスは神の御心を行おうとする者は、必ず個人的な確信を得ると約束しておられます。問題は、あなたが、今すぐ神の御心を行おうとしているかどうかにかかっています。
 1月12日(22~23頁)
  •  <聖句> 同 上(ヨハネ7・17)
  •  <説明> 多くの、信仰を持たない人たちは、頭が良すぎて信じることなどできない、と考えています。しかし、それは間違っています。信仰は頭の問題ではなく、体験の問題だからです。信じないのは、まだ体験していないからです。イエスはこのような体験を、「この方の御心を行う」と表現しておられます。神の御心を行う人は、確信を得ます。(中略)たとえば、「隣人にしてもらいたいことを、隣人のために行いなさい」という戒めがあります。イエスは、この戒めを行いなさいと命じられます。議論したり、話し合ったり、……するのではなく、ともかく実行するのです。その時、今まで考えなかった新しい経験をするでしょう。まず第一に知ることは、隣人にしてほしいと思うことを、(自分は今まで)隣人にしていないということです。第二に知ることは、それを実践することは不可能であるということです。第三に知ることは、自分のうちにそれを実行する意志がないということです。それはあまりにも労苦を伴う損な行為だからです。こうして、イエスが「あなたは罪人だ」と言われる意味を理解し始めます。何が真理であり、正しいかを知っても、それを実践することをしないからです。
     そこで、神に祈ることから始めようではありませんか。……祈るとは、率直に、信頼を持って神に語りかけることです。自分が疑問を持っていることを、率直に神に語り始めましょう。また、毎日の体験していることや、今、神の御心を行いたいと願っていることも話しましょう。そうすると、短い時間のうちに、疑問に思っていたことが神の御前で明らかになっていることが判ります。また、イエスが、神の前であなたが罪人であると教えられた意味が判り、キリストの十字架が、いかに尊く、信頼すべきものであるかが判ってくるのです。
本書はノルウェー語原著から和訳されたものです。以前に同名の書籍が岸恵以氏の訳で聖文舎から出ていましたが、それはノルウェー語原著を英訳したものをさらに和訳したものでした。

 訳者あとがきにノルウェーの宗教的課題と著者の背景が簡潔に記されています。
「ノルウェーは今日まで国教会制度であるため、絶えず精神的刷新と霊的覚醒運動を必要とした。信徒説教者ハンス・ニルセン・ハウゲ<1771~1824年>はそのような意味で、今日まで大きな影響を及ぼしており、ハレスビーもまた、その流れに立つ神学者である」。(367頁)
 JELA理事
森川博己

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