2015/01/22

【短期宣教師(J3)だより】ローラ・フェントレスさんと茶道

熊本のルーテル学院中学・高校での2年間の奉仕を終え、この春にアメリカに帰国されるローラさんから、熊本での経験について以下の便りが届きましたので、お分かちします。

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J3として英語教師をしているので、日本で私はいつも「先生」と呼ばれます。週に五日、九州ルーテル学院の中高生に英語を教えます。月に一度はルーテル神水教会で、英語で聖書を教えています。同じ神水教会では月に二回、日曜日に英語日曜学校の先生もしています。多くの時間を教えることに使っているわけですが、ずっと多くのことを、この2年半の日本での生活を通して学んだ気がします。

特に日本の教会が私の霊の目を開いてくれました。日々新しい学びがあります。おもてなしの心、人に対するやさしさ、あるいは忍耐といったことです。日本で学んだこれらのことをアメリカに持ち帰りたく思っています。このような良き性質は、神水教会の会員であるO女史が何人かの方と一緒に自宅でしていらっしゃる茶道の時間に習ったものです。

この一年半ぐらいのあいだ、Oさんは日本の茶道について教えてくださいました。私が日本文化に興味があると知り、2013年の7月のある日、茶道のおけいこにとご自宅に招いてくださったのがその始まりです。

私はむかし別の所で一度だけ、ゲストとしてお茶の会に参加したことがありました。楽しかったのですが、具体的にそれが何かはわからず、どうしてお茶を飲む前に茶碗をまわすのか、といったさまざまな所作の意味も理解できていませんでした。しかし、そんな質問は内に秘め、とにかく先生がおっしゃるとおりに、自分なりに最善をつくして、求められる動作をやるように努めました。最初の日から数週間後、Oさんからまた誘いがあり、それが何回も繰り返され、気がついたら、月に二、三回はOさんのお弟子さんたちといっしょに、ご自宅でお茶の会に参列していました。ちなみに、彼女の流派は表千家です。
2014年10月、Oさんの自宅でのお月見を前にして
ある時、おけいこの最後に私がOさんにお茶を一杯さしあげる機会がありました。それを飲みほした後に彼女は、「あなたは、平仮名の[ゆ]の形には茶碗を拭きませんでしたね?」と言いました。気づかれたことにびっくりしました。私のことをじっと見ている様子ではなかったからです。この驚くべき質問に続けて彼女は、抹茶が少しだけ茶碗の底についていることを示して言いました。「型通りにちゃんと拭かないと、抹茶はこんな感じで残ったままになるのよ」。そのことがあってから何カ月かが経ち、Oさんの辛抱強い教えのおかげで少しずつ、一つ一つの動作に込められた深い思想がわかってきました。

茶道をよく知らないアメリカ人には、どうでもよいことに映るかもしれません。でも、茶道の所作の一つ一つには深い意味があるのです。そして、そのすべては、お茶を飲む人のことを考えて工夫されたものです。茶道の実践は寛容を学ぶ大きな訓練の場と言えます。

ようやく少しはお茶のことがわかってきましたが、まだまだ失敗をします。一つ言えるのは、Oさんのところで週に一度お茶をたてることは、私の一番の楽しみになったということです。神様の愛と恵みをこんなにも深く教えてくださったOさんと、日本のおおぜいのやさしい人々に感謝しています。私はこの春アメリカに戻りますが、皆さんの思い出は私の心にいつまでも消えないでしょう。


【関連リンク】
日本福音ルーテル社団(JELA)