企画した上村先生(同大学キリスト教人間学コース主任)は、この講義について次のようにおっしゃっています。「人間の文化の中で、音楽はどれほど重要かということを講義だけではなく、実際に体感してもらう趣旨で(キャロルさんを)お招きしました。こちらの予想以上に学生の反応は鋭敏で、『神の霊がサウルを襲うたびに、ダビデが傍らで竪琴を奏でると、サウルは心が安まって気分が良くなり、悪霊は彼を離れた』(サムエル記上16:23)との記述がある通り、ハープ(竪琴)の持っている癒しの力は、疲れている魂だけでなく、肉体をもリラックスさせる効果があることを学生のコメントは見事に証明してくれました」。
参加学生の感想文から、その一部を抜粋して以下にご紹介します。
〇 ハープの清んでいる音を聞いて正直うとうとしてしまいましたが、その間なぜか自分の中の良い思い出が頭に浮かんできました。心が落ち着き穏やかになって思い出に浸っている中で、自分の行動・言動をお母さんのような温かい存在に許され、さらに諭されている気分になりました。
〇 音楽は祈りなんですね。なるほどと思いました。言葉にしなくても不思議と思いは音楽に現れて、人の心に、そして神様のところへ届いているのだということを感じました。
ハープの演奏を聴かせていただいて、言葉に表せないくらい本当にすてきでした。悩み事や心配事はすべて吹き飛んでいました。忘れていました。
私は常に構えています。ふっと気を緩めることができません。そんな私でも、心からリラックスできました。
私は死ぬことが怖いです。天国へ行くのだとわかっているはずなのに、でも怖いです。もうすぐ命が終わるのだとわかったとき、私は不安に押しつぶされると思います。そんなときにリラ・プレカリアを聴いたら落ち着くだろうなぁと、自分の運命を受け入れられそうな気がしました。
キャロルさんは子守唄を演奏してくださいました。優しくて温かくて、安心できました。聴くのがもしベッドの上だったら、お母さんといる感じになって、天国とつながっているんだと感じることができたのではないかと思います。
〇 いやな事がハープによって忘れていくのだと実感しました。リレ・プレカリアの活動がいろんな人に癒しを与えてくれていると思いました。実際に活動しているところを見たいなと思いました。
〇 私はその日はとても学校に行く気分になれない日でした。しかし、キャロル・サックさんの講義終了後は、頑張って来てよかったなと思いました。
私は普段、ある女性歌手の日本語のバラードをよく聴きます。私は彼女のことがとても好きなので、それはそれで楽しいです。祈りのたて琴を聴いているとき、私はとても安らかな気持ちになって寝そうになりました。
キャロル邸のリビングでくつろぐルーテル学院大学の学生(右端=キャロルさん、左から二人目=上村敏文・ルーテル学院大学准教授) |
キャロルさんの自宅玄関に飾ってある額。リラ・プレカリアのモットーと言える標語が次のように記されています。「バッハは神の言葉を、モーツアルトは神の笑いを、ベートーヴェンは神の炎を与えてくれました。しかし神様は、言葉なしでも祈れるようにと、音楽そのものを与えてくださいました。」 |