JELAはここ数年、パナソニック株式会社から多数のソーラーランタンをアジアの支援先に寄贈していただいています。去る3月27日のJELA年次社員総会では、奈良部慎平職員とシニア・アドバイザーのローウェル・グリテベック博士が、このランタンが現地の人々の生活にもたらす変化に関する調査概要とその中間結果を報告しました。以下、その要旨です。
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講演するグリテベック博士 |
JELAはこれまでに、パナソニックからインドとカンボジア支援先に累計1,422台のソーラーランタンを寄贈していただきました。
このランタンが現地の人々の生活向上にどのように役立っているかを明らかにするために、JELAは受贈者にインタビュー調査を行っています。
約300人を対象に、寄贈後4~6カ月が経過した段階でJELAが用意したアンケート用紙を用いて現地担当者がデータ収集を行いました。回答数の3/4がインド、1/4がカンボジアで得られたものです。
寄贈者の家庭の平均月収は約8000円(世界的にも貧しいレベル)で、これまでの主な光源は58%が灯油ランプ、22%がろうそく、14%が懐中電灯でした。月収に占める光熱費の割合は平均9%で、ソーラーランタン利用により光熱費を抑えることで、余ったお金を教育などに使えるようになっていることがわかりました。
ソーラーランタンの一日の使用時間は平均3.12時間。主な用途は教育、家事の順に高い結果となっています。灯油ランプをやめることで煙から解放されるので、ランタン使用の効果として「健康」を挙げる人が多数いると予想していましたが、そうでもありませんでした。貧困の中にいる人には健康より優先すべきことがあることを示す興味深い結果です。また、夜間の暗闇に外のトイレに女性が一人で行くので危険だったのが、ソーラーランタンを使うことで身の安全が守れるという、安全性の向上に高い効果が見られたのも意外でした。
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調査は始まったばかりです。データが増えると、明確な傾向が分かるようになるため、今後3年間で調査対象を1000人にまで増やして継続的に行う予定です。十分なデータが得られた暁には、何らかの学術的な会合で「ソーラーランタンがもたらす発展途上国の生活レベルの向上」について発表することを目指しています。
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日本福音ルーテル社団(JELA)
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