2016/01/29

【川柳ひろば】 闘病の投句者からのお便り

5回川柳ひろばで「深ければ深い程よい思慮と杭」が最優秀句に輝いた「とんちゃん」(ペンネーム)さんから便りが届きました。十年前にパーキンソン病を発症されたそうです。川柳が闘病の励みとなっていることを知り、JELAの川柳ひろば管理人として励まされました。  (森川博己)

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ご本人の似顔絵ではありません
難病と私と川柳と
とんちゃん

難病と宣告されて十年ほどが経過した。初期症状は大事もなく過ぎた。しかし症状は体中に、しかも確実に私を苦しめているが、川柳を勧めた家内のおかげで今の自分がある。

川柳は病気になって落ち込んだ私を奮い立たせようと家内が考えたものだ。初めは日記をノートに書いていた。それが6年半ほど前になる。しばらくしたら今度は「川柳をやったらどう」と言い出した。私は他人から押しつけられるのが大嫌いで、反抗するのだが、この「日記」と「川柳」については、気が早い妻だなと思いつつ、素直に受け入れることができた。

川柳の効用はこんなところにある。箇条書きに書いてみた。
  1. 性格が前向きになる。楽しいから続く。
  2. 物事を五・七・五で考えるから、怒れることでも川柳風にすると、今までの怒りが収まったり、遅らせたりする。一例をあげると、「横流しタレ流し者島流し」
  3. お金がかからない。投句すると通信費用は多少かかる。入賞して賞品をいただける機会もあるので、その際の喜びは大きい。
  4. 世の中の動きに関心を持つようになる。カタカナ語に強くなれる。頭の中で言葉を選ぶのでボケにくい。
  5. 川柳は俳句のように季語がいらない。俳句のように写実的でなくても、自分の心情を吐露すればよいので、たとえウソでも書けるので気楽だ。楽しい川柳を心がけている。
家内の叔父が川柳人で、どうすれば上達するのか尋ねたところ、「たくさん書きなさい」と、たった一言。その助言を守り、自分なりの川柳を自分のペースで書いている。

昨年の暮れ、老人ホームに入居した。家内も病人となり、他人の面倒を見られなくなったからだ。まだオープンして間もないので、活動的なことをやっていない。時々私が勝手に掲示板に川柳を貼っているが、今のところ施設の方からのお咎めはない。

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JELA川柳ひろばの投句受付は随時。柏木哲夫先生が4か月毎に選出する最優秀句には『ハーベスト・聖書かるた』を、優秀句には『星野富弘・詩画葉書セット』または男鹿和雄さん(「となりのトトロ」など数々のジブリ作品の背景美術術作家)による『第二楽章 福島・絵はがきセット』を差し上げます。奮ってご投句ください。

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