2016/01/29

【国際青年交流奨学金】 身体の声に気づく ― 1学期を終えて(後編)

JELA国際青年交流奨学金による学費の支援を受け、昨年9月より英国ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジのダンス・ムーブメントサイコセラピー修士課程に進まれた小川昂子さんから、1学期に得られた学びについてのリポートを頂きました。今回はその後編です。前編と合わせてお楽しみ下さい。

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1学期で特に印象に残っている経験の一つは、「安全で専門的な実務の実施(Safe and Professional Practice)」という授業の一環で行った、「身体の動きを使った応答(Movement Response)」です。授業のテーマに沿った論文を読み、その感想・応答を身体の動きで表現する、というものです。

この授業は、アート・セラピー専攻の学生との共同授業で、私とDMPのクラスメイトの4名がボランティアとして立候補し、クラス全体の前で発表する機会を得ました。これまで、ダンス・パフォーマンスの経験はありますが、このようなアカデミックな場で、思考を動きにつなげ、それを身体で表現して発表するというのは初めての経験でした。

身体の動きで表現しているところ(中央が小川さん。槍投げ風)
最初はどうなることかと思いましたが、それぞれが少しずつアイディアを持ち寄って、実際に動いてみると、さらにアイディアが膨らみ、みるみるうちに形になっていきました。身体の動きを使うことで、感情をさらに深く感じられました。短期間にもかかわらず、一緒に発表した仲間とのつながりは、言葉にするのが難しいくらい特別なものとなりました。

パフォーマンスを観たクラスメイト、特にアート・セラピー専攻の学生の多くから、「とても感情を揺さぶられた」「すごく力強かった」といった感想や、論文とのつながりで興味深い反応をもらい、その後の意義深い議論にも発展しました。

私たちはしばしば思考だけに頼り、身体の声を無視しがちです。しかし、私たちが思っている以上に、身体は知っていることが多く、またその身体の声に耳を傾けることによって、さらに多くの気づきが得られるのです。そのことを「身をもって」体験した貴重な機会となりました。

今学期からは、実習先で実際にセラピーのセッションを行う臨床活動が始まっています。こちらも挑戦の連続ですので、また、改めてご報告させていただけると幸いです。  (小川昂子)