2018/11/17

【信仰書あれこれ】東北のマザーのいのちのことば

佐藤初女著『いのちのことば 心の道しるべ137言』(2011年、東邦出版)をとりあげます。

著者はカトリック信者で、1983年に「弘前イスキヤ」、92年に「森のイスキヤ」を開設。迷い、疲れ、救いを求めて訪れる人に食事を供し、寄り添うことで多くの人々の再生のきっかけになりました。

本書に掲載された137の言葉の中から、いくつかをご紹介します。括弧の数字は本書内の通番です。

◇◆◇

苦しいのは、自分が刷新されているから(33)
  • かつて大きな苦しみの中にあった時、神父様にお話ししたら、「苦しみなくては刷新ははかれません。その苦しみを乗り越えた時に、恵みはやってくるのですよ」と励ましてくださったことがありました。以来、苦しい時は「私は今、刷新されているんだ」と思うと、ずいぶん楽になるような気がします。

 悲しさだけに囚われないで(46)
  • たとえば肉親を失うということは、それは悲しいことです。でも、その悲しさだけに囚われないで、その人が生前にどのように望んで、どのように生活した人であるのか、そのように自分も生きるというのが慰めにもなり、力にもなります。

  相手ではなく、自分と向き合う(49)
  •  悩んでいる人や心に傷を負って苦しんでいる人は、本当のところでは苦しみを真っ向に受けとめないで、逃げているように思うのです。もし相手に腹が立つなら、まずは腹を立てている自分を認めること。心が苦しんでいるなら、悲しいというという自分をそのまま受け入れることです。自分を見つめることもせず、相手に原因を探しても、何の解決にもならない。そして感じることを抑えてしまうと、必ず無理が出てきます。

 限界を超えた行動こそ、魂に響く(65)
  •  「奉仕」や「犠牲」というのは、自分を苦しめることではありません。誰にでもできることを超えて、相手のために行動するということです。

 大きなことはできなくても、小さなことならできる(75)
  • たとえば自然災害が起きた時。大きく考えたら、私たちにできることは何もないわけです。それでも、まず自分に何ができるかを考えたいと私は思うんです。それは小さなことに思えても、できることからやる。

 「友のために命を捨てるほど尊い愛はない」(104)
  •  とても疲れていた時にお客さんが来て、今日は具合が悪くてと言っても聞こえていない様子でした。仕方がないのでずっと話を聞いて、晩ごはんも食べてもらって、次の日は会の準備で青森まで行かないといけなくて。そんな状態で弘前から汽車に乗っていた時のこと、「友のために命を捨てることほど尊い愛はない」という聖句の文字が、電車の窓から入ってきたんです。周りの人には見えていないようでした。とても不思議なことでした。――後日、この話をしたら神父さまは、「不思議というのは神の働きなんだよ」とおっしゃいました。
佐藤初女さんの別の本『いのちをむすぶ』(2016年、集英社)も紹介しておきます。初女さんの珠玉の言葉とともに、岸圭子さんが撮ったきれいな写真が多数、見事な配置で掲載されています。プレゼントするなら、こちらのほうが喜ばれるかもしれません。

JELA理事
森川博己

◆◇◆