2018/06/18

【信仰書あれこれ】読むことが祈りとなる聖書の読み方

来住英俊著『目からウロコ 聖書の読み方――レクチオ・ディヴィナ入門』(2007年、女子パウロ会)をとりあげます。

著者による祈り方のやさしい手引き書「目からウロコシリーズ」が十種類刊行されていて、本書はその中の一冊です。80頁に満たない薄い本ですが中身はユニークで、聖書を読むこと自体が祈りである、ということを実践するためのよい手引きになっています。

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レクチオ・ディヴィナ (=ラテン語)のレクチオは「読むこと」、ディヴィナは「聖なる」という意味です。

著者は聖書を読むことと祈りとの関係ついて、次のように説明します。

  • 現代人にとっては、聖書を読むことそのものが祈りになるということは理解困難になってしまいました。……祈りの「準備」、あるいは「材料」として聖書を読むと考えている人が多いのではないでしょうか。(本書8頁)
  • 「静かな時間を取って神の声に耳を傾けましょう」という勧めがありますが、こういう祈りは簡単なようで、実は最も難しいものです。何か仲立ちになるものがあって、それに触れればとにかく祈りになる。そして、深めていけば、いくらでも深くなる。こういうタイプの祈りのほうが続けやすいと思います。代表的なものはロザリオの祈りですが、レクチオ・ディヴィナもその一つです。(8~9頁)
  • ディヴィナ(divina聖なる)という形容詞がついているのは、聖書を読むからだけではありません。神について何かを知るためではなく、神ご自身と出会うために読むからです。(10頁、下線=森川) 


その実践方法として、著者は以下のような「技法」を説明します。(10~26頁)

  • 非常にゆっくり読む。
  • 歯がゆいほどに時間をかけて反芻し、徹底的に自分の栄養にする。
  • 一つひとつの言葉に「さわる」ように読む。
  • 一つひとつの単語に丁寧にさわりながら、ゆっくりと一つのセンテンスを読む。
  • すべての言葉にさわりながら(一つひとつのことばで少しずつ止まる)、すべてのセンテンスを読む。
  • 同じ箇所を何度も、行きつ戻りつしながら読む。
  • その箇所を初めて読むような、新鮮な興味や驚きの心で読むように努める。
  • 勉強ではないのだから、参考書や注解書を片付け、聖書だけに集中して読む。


上記の説明のあと著者は、新約聖書の「善きサマリア人」の箇所を例に、10頁に渡って具体的に読み方を示してゆきます。

ここまで読んで、レクチオ・ディヴィナや本書について興味を持たれた方は、実物をお読みになることをお勧めします。得るところの多い本です。

最後に、以下の注意を記しておきます。

JELA事務局長
森川 博己

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