2023/03/29

【カンボジア・ワークキャンプ2023】参加者レポート③(小林優花さん)

JELAは2月13日から23日に3年ぶりとなるカンボジアでのワークキャンプを行いました。

引率3名を含む13名の参加者たちは、JELAが現地パートナー団体LWD(Life With Dignity)と協力して支援している2箇所のプレスクール(幼稚園)でのボランティア活動を行いました。また、カンボジア・ルーテル教会(Lutheran Church in Cambodia = LCC)にも協力してくださり、現地の青年会や礼拝に参加し、ボランティア活動を含めて、施設の子どもたちなどと交流を深めました。
JELAとLWDが支援して建てたプレスクール前にて

カンボジアの歴史と文化を知るために、キリングフィールド、拷問博物館、戦争博物館、王宮などの見学や世界遺産アンコールワット遺跡の観光も体験することができました。

また、キャンプ中に毎晩行ったディボーションでは、チャプレンを引率してくださいました日本福音ルーテル日吉教会の多田哲牧師が、参加者の皆さんと共に、その日に体験したことを聖書と照らし合わせながら、振り返りと分かち合いの時間を過ごすことができました。 これらの体験をもとに、今回の参加者10名から感想のレポートをいただいておりますので、順次ご紹介いたします。

 以下は、小林優花さんのレポートです。

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小林さん(左)と現地教会の若者

私にとってカンボジアという国は、機会がなければ訪れなかったかもしれない場所でした。

私は、これまで3度の外国訪問のなかで「日本で生活をしてきた今までの当たり前」とは異なる異文化に触れることで、自分の知る世界は狭いという無知さに気付きました。そこで、さらに沢山のことを学び、経験することで自分の視野を広げ、可能性を高めたいという想いから、今回のカンボジアワークキャンプに参加をすることを決めました。そんなご縁があって本キャンプに参加をさせて頂くことができましたが、知り合いが1人もいない、尚且つ初めて訪れる未知の国で過ごすということにとても不安な気持ちでいました。しかし、その気持ちが嘘だったかのような刺激的で発見のある日々で、とても楽しく充実した11日間を過ごすことができました。この11日間で感じたこと、学んだことを「カンボジア」と「ワークキャンプ」の二つの視点で述べたいと思います。
 
まず、カンボジアで過ごしたという点ですが、カンボジアに到着して最初に感じたことは「街の賑やかさ」です。日本に比べて国全体が貧困なイメージを持っていましたが、実際はその逆で、首都プノンペンのバイクや車が沢山行き交う交通量の多さに驚きました。首都を離れた村でも道がある程度整備されていました。しかし、その賑やかさの裏には悲惨な歴史が繰り返されてきたということを知りました。虐殺が行われたという歴史があり、現在のカンボジアの平均年齢が20代とされ、若者が多いため、国が発展しているという事実を直に実感しました。また、戦争が何度も起こっているカンボジアですが、アンコールワットを訪れた際には遺跡に銃弾が当たった痕跡を発見して、戦争が最近まで起こっていたという事実を目の当たりにしました。
 
暗い過去が今も見え隠れする国ですが、カンボジアの人々はとても明るく穏やかで、笑顔が素敵な方が多い印象を受けました。まるで当たり前かのように、老若男女問わず目が合うとニコッと笑顔を返してくれます。村を訪れた際には日本では珍しい果物や地元料理を用意し、熱烈なおもてなしをして頂きました。私達はつい目に見えるものだけで物事を判断してしまうことがありますが、カンボジアの今と昔を知り、物事の表裏を客観的に見ることの大切さを学びました。
JELAとLWDが支援して建てられたプレスクールの壁にお花のイラストを描く小林さん

次にワークキャンプという視点ですが、私達はプレスクールを訪問し、トイレや校舎の壁にペンキでイラストを描いたり、子ども達と遊んだりしました。特に私はこのプレスクール訪問が今回一番思い出に残っています。カンボジアの言語であるクメール語を話すことができない私は、子ども達との接し方に困っていました。そこで、唯一知っていたクメール語で「1・2・3」という意味である「モイ・ピー・バイ」を使いながら子供たちとスキップをしてみました。すると、子ども達はそのリズムを気に入ってくれた様子で、互いに言葉は分からないはずなのに「もう一回モイピーバイで遊ぼうよ!」と言っていることが自然に伝わってきました。言葉なんてなくてもコミュニケーションをとれることに違和感なく子供たちと接している自分に驚きました。素直に相手と話したい、接したいという想いがあれば言語は関係ないのだと学んだ貴重な時間を過ごすことができました。
一つ日傘の下で、小林さんと現地の子どもたち

また、ワークキャンプ中行っていたディボーションの時間では互いの考えを尊重することの大切さを学びました。このディボーションとは、一日の振り返りや、聖書の言葉を基に自分の考えをまとめ他の参加者と共有する時間でした。様々なテーマで話し合いを行いましたが、特に、聖書の世界観について考えるというテーマが印象に残っています。無宗教である私は、ディボーションでクリスチャンの方々の考えを聞いた際、そのような考え方もあるんだと自分にはない価値観に触れ、とても新鮮に感じました。同じ無宗教の方でも、違う考え方を持っていました。世界には様々な宗教があるように、人それぞれ価値観が異なります。今回行ったディボーションでは、誰一人として自分とは異なる価値観を否定せず、互いを尊重していました。歴史を振り返ると人は戦争を繰り返し、争っています。日常生活でさえ些細なことで争います。自身とは異なる考えを受け入れられず、否定することで争ってしまうのです。私は、誰一人として同じ価値観を持つ人はいないと考えています。だからこそ自分と相手との違いを受け入れ、尊重することが大事だと思います。このディボーションを通して、自分と異なる考え方、価値観に触れることで視野を広げることができました。
小林さん(右)とLCCタンクランコミュニティセンタースタッフ

最後になりますが、今回のワークキャンプに参加をして以上の様に感想を述べることができているのは多くの方の支えがあったからです。日本、カンボジアの方々に貴重な経験をさせて頂き本当に感謝申し上げます。今回学び感じたことを忘れず、今後に活かせるように励んでいきます。

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