2015/02/24

【リラ・プレカリア(祈りのたて琴)】東日本大震災被災地の仮設住宅で奏でられるハープの祈り

リラ・プレカリア研修講座3期修了生の横山恭子さんが仙台の被災者用仮設住宅でパストラルハープの実践をされていることを、2014年8月発行のジェラニュース34号7頁でとりあげました。横山さんが最近のニュースとして、このハープによる祈りを体験した仮設住宅の方々の感想を知らせてくだったので以下にご紹介します。

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宮城県の美田園第二仮設住宅にリラ・プレカリアのご奉仕で訪問させていただくようになってから約2年になります。きょうはこの1月29日に訪問した時のエピソードをお分ちしたいと思います。

初めの頃は皆様遠慮されていて、なかなか横になってもらうのが大変でしたが、今はカーテンを閉めて照明を少し落としますと抵抗なく横になってくださるようになりました。

リラ・プレカリアのハープによる祈りは、通常の場合お一人の方にむけて、その方の呼吸を観察してからハープを弾き始めるのですが、仮設住宅では床に複数の方が横になっておられるので、その様子や気配を感じながら曲を選んだりテンポを決めたりしています。

40分ほどの演奏が終わった後、しばらく沈黙の時間を持ちます。私は目を閉じて心の中で神様にとりなしの祈りをします。その後は皆様と交流の時間を30分から40分ほど持ちます。その中で思いがけず2名の方にフィードバックをいただくことが出来ました。今までになかったことで本当に心に残る言葉でした。

一人は80代の女性Aさんで、津波で自宅を流され親族も亡くされた方です。Aさんは私がそばに行くと静かに語り始めました。「ここの仮設住宅でも、自宅を再建した人や復興住宅への入居が決まった人たちが何人か引っ越しをしたんだよ。私たちもいずれはその日が来ると思うけど、今はまだ決まっていないから、出て行く人を見ていると心がもやもやして、なんだかいたたまれない気持ちで落ち着かなくなっていたの。でも今日のパストラルハープを聴いているうちに、だんだん心のもやもやと、いらいらする気持ちがすーっと消えていったの。不思議だねー」と言いました。私は「Aさん、良かったですね。ほんとに良かった」と言いながら、思わずAさんの手を握っていました。

すると、その隣に座っていた、Bさんが話し出したのです。彼は70代の男性ですが、前自治会長さんが仮設から引っ越しをされたので新しく自治会長になられた方で皆様から信頼されている方です。Bさんも自宅を流されました。彼は「演奏が始まったとき、なにげなく聴いていたが、だんだん心が静かになってきて時間を超えたところに行くような気がしました。この音楽は『動から静』へ移っていく音楽なんだね」と言ったのです。私はそれを聞いてまたびっくりして、Bさんに「そうですか。そんな風に感じましたか」と言ってしまいました。

主に末期の方のためのリラ・プレカリアですが、震災で大きな喪失感を抱えている方々への効用もあることがわかり、この働きの可能性について考えさせられる機会となりました。神様の大きな憐れみと恵みとに感謝しました。

横山恭子


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JELAは今後、東北被災地の仮設住宅等でのスピリチュアルケアを充実させたく思っています。横山さん以外のリラ・プレカリア修了生も加わり、交代で仮設住宅を訪れ、震災で心を痛めておられる多くの方々にハープによる祈りを届けることを計画中です。

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