2018年5月21日

【信仰書あれこれ】絵とことばのコラボレーション

『喜びも、悲しみも』(小島誠志:文、渡辺総一:画、2007年、教文館)をとりあげます。

小島誠志氏は様々な聖句を数行で解説する『聖句断想』シリーズを出しています。とても深いショートメッセージで、その1~4巻から、渡辺総一氏 が絵をつけた44編を一冊にまとめたのが本書です。

『聖句断想』では白黒だった絵が、本書ではカラーで示され、渡辺氏は「絵にこめた象徴的な要素も、併せて見ていただけることを喜んでいます」(本書91頁)と書いておられます。

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本書は霊的な説明と、表紙に見られるような大胆な図柄の絵(表紙の絵のテーマは「共におられる主」)の見事なコラボレーションです。次のようなパタンで構成されます。

★「一筋の心」の項(22~23頁)
聖句=御名を畏れ敬うことができるように/一筋の心をわたしに与えてください。(詩編86:11)

  • <日本語解説>ひとすじの心とは神に向かう心です。試練の日も悩みの日も神に向かうのです。誘惑された時も罪に落ちた日も逃げないで神に向かうのです。……苦難のヨブは嘆きましたが、神に向かって嘆きました。怒りましたが、神に向かって怒りました。
  • <絵>表題を象徴的に描いた絵が左ページ一面に配され、その下に、”Let Me Worship Your Name with Straight Heart” という英文の説明が付されています。

このように「一筋の心」が神だけに向かう真っすぐな心だということが、聖句・和文説明・絵・英文説明で総合的に、簡潔に、そして味わい豊かに示されます。

他の項を少し紹介します(和文のみ)。

★「泣く人と共に」の項(26~27頁)
喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。(ローマの信徒への手紙12:15)

  • 喜ぶ人と共に喜ぶのはむつかしいことであります。苦しみの時、一緒に泣いた人が一緒に喜べるのであります。人の悲しみのそばにいること――つらいことだけれど、それが一切の始まりです。

★「富める者」(46~47頁)
富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい。(マタイによる福音書19:24.<口語訳>)

  • 富とはなんでしょう。自分は良いことをしたと思う心であります。……その「富」がわたしたちを、神の国 から決定的にへだてているのです。神の国はただ神のあわれみによって、入れていただくものなのであります。えらい人はひとりもいません。(46頁)

★「最も小さい者」(58~59頁)
わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。(マタイによる福音書25:40)

  • 「小さい者」とは……病気であったり、障害をもっていたり、挫折した人であったり、――つまり傷を負って生きている人々のことであります。そうした人々に関わることは、なんらかのかたちで重荷を負うことになるでしょう。しかしそこに踏み込まないで主に出会うことは、できないといわれているのであります。

本書の解説はどれも簡潔で、聖句のポイントをわかりやすく示し、心に迫る内容です。プレゼントすると喜ばれるでしょう。これを書きながら私も、何人かの人に贈ろうという気にさせられました。

小島誠志氏には、『朝の道しるべ――聖句断想366日』(2011年、教文館)という、文庫サイズのデボーションの本があります。こちらも充実しています。

JELA事務局長
森川 博己

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