ブラジル・サンパウロ教会が子どもたちの情操教育のために行っている音楽ミニストリーを、楽器購入その他の形でJELAは支援しています。徳弘宣教師ご夫妻からクリスマスの報告が届いたのでご紹介します。
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12月16日に少し早いクリスマス礼拝をしました。その日は二人の洗礼式がありました。一人は2月から音楽教室に通っている少女アナ、もう一人は、10月に実施した教会改修工事のペンキ塗りを手伝ってくれた若夫婦の1歳半の息子です。
洗礼式ではアナの頭に、わざと水をたくさんすくってかけました。彼女はびっくりして「わぁ!」と声をあげましたが、一生に一度の大切な日を、驚きとともに忘れないでいてほしいと思ってのことでした。
洗礼を受けたアナさん(左)と徳弘夫妻 |
音楽教室の生徒たちもたくさん式に来てくれましたが、アナのお母さんは来られませんでした。その日は、新しい職場の仕事があったからです。アナのお母さんは美容師ですが失業した後なかなか仕事が見つからないと相談を受けていたので、知り合いのレストランを紹介しました。サンパウロ教会のゲストルームに泊まっている日本人が、本格的ラーメン店の開店準備中で、従業員を探していたのです。
アナさんの洗礼を祝う音楽教室の生徒たち |
すぐに採用通知があり、アナのお母さんも喜んで仕事を始めました。私の故郷である福岡からやって来た豚骨ラーメン店で、なかなかの本格派です。娘の洗礼式には出たいものの、始めたばかりの仕事をどうしても休めないというので、「どうぞ、仕事を頑張ってください。信仰も、仕事をして家族を養う生活も、どちらも大事ですから」と安心してもらいました。
お母さんは日本語のあいさつも覚え、ラーメンの種類や味の違いなども詳しくなってきました。教会のみんなとその店に行った時、日系2世の教会員にブラジル人の彼女が、日本のラーメンの味の違いや材料を説明するということになり、大笑いしました。
アナさんのお母さん(左から4番目)が働くラーメン店にて |
音楽教室は子どもの人生を少しずつ変えていきます。そして、子どもと一緒に教会に来はじめた家族の人生も変えてきています。洗礼を受けたアナは遠い町のおばさんのところに一人、夏休み(*ブラジルでは日本の冬が夏です)のあいだ預けられています。おばさんの携帯を借りて、時々私にメッセージを送ってくれます。夏休み明けはいつから教会の音楽教室が始まるの? 今度は音楽だけじゃなくて先生の話す外国語も教えてください。私も日本語と英語とスペイン語を勉強します……と。
音楽を通して子どもたちの心が育ち、信仰も持つようになる。家族や地域の人たちも教会に来るようになり、信仰によって生活が変わっていく。そんなことを夢見て祈りながら取り組んできたことが、少しずつ、実を結んでいるように思います。
皆さんのお祈りとご支援を、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございます。