ブラジルのサンパウロ教会牧師・徳弘浩隆先生から便りが届きましたので、以下にご紹介します。JELAはこの教会が数年前に始めた、貧困地域の子どもたちのための音楽教室(AMILU)で用いる楽器の購入費などを支援しています。
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大騒ぎ・ケンカ・お散歩 ~ 見えてきた課題と出口の小さな光
徳弘浩隆(JELCブラジル宣教師)
夜の礼拝にカルロス(仮名)が新しい友達を連れてきてくれたので、音楽教室に登録している子どもたちの写真カードを出して、みんなでお祈りしました。
「ひとりひとり、みんなちがう。ひとりひとり、得意なことも、苦手なこともある。良いところもあれば、悪いところもある。でも神様はみんなを大切にしている。だから、この教会も教室も、みんなが大事なんだよ」。
写真カードを見ながら、名前を言い合いながら、一緒におしゃべりして、お祈りしました。
音楽の教室は子どもたちの心を育てることに役立つと思います。先生や指揮者の話を聞いて、他の人の歌声や楽器の音を聞いて、それと調和させないといけないからです。パソコン教室では、将来へのスキルを身に着けます。ほっておくと変なビデオやゲーム、大騒音の音楽だけを見たりするので、インターネットとの正しい付き合い方も教えることができればと格闘中です。おやつの時間も大騒ぎ。散らかして、かたづけません。日本のように当番を決めてもなかなか機能しません。先生が掃除をしてたら慌てて手伝う、なんてこともめったにしません。
でも、いい子たちばかりです。お天気の良い日、教室が満員だったから「パソコンまってる子は、先生と一緒に散歩に行こう!」と呼びかけると、子どもたちは喜んで、大好きなパソコンを置いて出てきました。「今日は新しい日本人のおねえさんがいるから、みんなの住んでる街を案内してよ」と言うと、嬉しそうに自慢げに崖道を降りて、壊された家の脇を通り抜けて、案内してくれます。二階のベランダにいる友達の子にも手を振って紹介してくれます。
「時間がなくなったから、そろそろ帰ろう」と言っても、「私たちの学校によって行く、こっち!」と、言うことを聞きません。競争で階段をかけ上り、校庭の木の前で記念撮影。私がちょっと登ってみると、子どもたちも競争で登ります。「学校の名前の前で、一列に並んで写真を撮ろう」と言うと、「みんなで一緒にジャンプして撮ろう!」と嬉しそうです。
小中学生くらいの子どもと一緒だと、50代後半の私にはきついこともありますし、「こんなことをしていて、何か役に立っているんだろうか?」と自問自答するときもあります。子どもたちはなかなか言うことを聞かいこともあるし、喧嘩をするときもありますが、こうして心を開いて、なついてくれる無邪気な顔をみると、「あとは神様に任せて、やれることをやってみよう」と祈るしかありません。混乱も大騒ぎもありますが、悪いところを叱るのではなくて、音楽やパソコン、そして聖書の言葉を通して、この子たちがより良くなっていけばと思います。
音楽発表会をして、8月からの後半の学期は、みんなで協力して歌を歌い、合奏できる歌を選びました。その歌をパソコン教室でも使い、各国語があるのでポルトガル語や英語、そして日本語を教えたりして総合的に取り組み、個々の子どもたちの課題ともぶつかり合いながら、次の段階に入ることができればと思っています。どうか、お祈りとお支えをよろしくお願いいたします。
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【関連リンク】JELAのブラジル支援ニュース(ブログ)
日本福音ルーテル社団(JELA)