2024/09/20

【ディアコニア奨学金】「国際」と「国内」つなぐ(小松 豊明さん)

JELAディアコニア奨学金は、JELAの公益事業3本柱の1つである「奉仕者育成」を目的とした事業です。名前の「ディアコニア」(διακονiα) とは、ギリシア語で「奉仕」という意味の言葉で、特にキリスト教会では、困窮する人々や立場の弱い人々のためにキリストの愛を実践することを指します。
 
ディアコニアの精神が国内外でますます求められている時代に、人や社会に仕える奉仕者を志し、国内外で勉強したり経験を積んだりすることを希望する方々を支援したいという思いで、この奨学金を 「JELAディアコニア奨学金」と名付けました。2001年の事業開始以来、120名を超える多くの方々の修学や研修を支援してきました。

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今回は作年度の奨学生として、ルーテル学院大学 総合人間学研究科 社会福祉学専攻博士後期課程で学ばれた、小松豊明さんから報告が届きましたのでご紹介いたします。

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「国際」と「国内」をつなぐ

ルーテル学院大学 総合人間学研究科
社会福祉学専攻博士後期課程 
小松 豊明

私は現在、ルーテル学院大学博士後期課程に在籍し、国際開発とソーシャルワークの関係性をテーマとした博士論文の執筆に取り組んでいます。

小松 豊明さん

昨年度まで国際協力活動を行う民間団体(NGO)で女性のエンパワメント、子どもの貧困問題の解決、防災・減災などに取り組んできました。日本でも大きな災害が発生した際に現地での緊急救援活動に携わり、東日本大震災では発生直後から福島県に拠点を置き、被災地支援に取り組みました。その際、社会福祉協議会や地元のNPOなど、国内の福祉課題に取り組む人たちと協働する中で、日本における社会福祉やソーシャルワークの存在に初めて気づいたのです。

それまで私は海外のことしか見ずに活動してきましたし、恐らくほとんどの国際協力関係者は同じなのではないかと思います。東日本大震災では、私たち同様、多くの国際協力団体が東北の被災地へ入り、長期にわたって被災地支援に取り組みました。そこで「国際」と「国内」が出会い、互いの共通点や違いについて考える、という機会、機運が少しずつ増えていった気がします。

福島での活動被災地支援として支援物資の配達
 
私は、社会福祉やソーシャルワークの理論、経験の蓄積から学ぶべきことが多くあるのではないかと考えるようになり、社会福祉の勉強を始め、社会福祉士の資格も取りました。国際協力、国際開発の現場で「社会福祉」や「ソーシャルワーク」という言葉を使うことはありませんし、社会福祉の教育を受けたり現場で働いた経験のある人に会うことはほとんどありません。「社会開発」「エンパワメント」「人権」「多様性の尊重」など、共通した理念や原則をもちながら、互いのことを知らず、ほとんど交流することがない状態が、あまりにもったいない。そのギャップを埋める方法を考えたいと思い、大学院での研究を思い立ちました。

バングラデシュにて現地の人から話を聞いているところ

研究に当たっては、大学院の授業料はもちろん、書籍の購入、インタビューにかかる経費等、それなりに支出が発生します。限られた収入の中でこうした費用を捻出するのは容易ではありません。今回、JELAの奨学金を受けられたことで、経済的に多大な応援をいただきました。また、それだけではなく、定期的な面談においてJELAのみなさまから暖かいメッセージやアドバイスをいただけたことは研究を進める上で大変大きな励みになりました。

現在、日本国内のグローバル化が急速に進み、多文化共生の必要性が叫ばれています。私自身は今年度から軸足を国際協力から国内の児童福祉の現場へ移しているのですが、そこでは外国にルーツを持つ子どもたちとの関わりがとても多く、教育や福祉を含めた日本社会の現状が急速なグローバル化に全く追い付いていないことを肌で感じています。私がこれまで国際協力の現場で培ってきた経験を、何らかの形で日本国内の福祉の現場で活かせればと考えています。そして大学院での研究の成果が「国際」と「国内」をつなぐ一助になれば、JELAのみなさまからいただいたご支援に少しでも報いることができるのではないかと考えています。

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JELAは2025年度のディアコニア奨学生を募集しています。この奨学金は国際貢献や社会福祉を志し大学や専門学校での修学や、海外での研修などを希望する方に、年額最大120万円、最長4年間の継続支援をする、すべての人にひらかれた完全給付型の奨学金です

あなたもこの奨学金を使って、JELAと一緒にその夢にチャレンジしてみませんか?

2025年度奨学生の応募締切は2024年10月31日(木)です。奨学生の資格や応募方法など詳しくは下記のWebページをご覧ください。


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