2018/03/06

【カンボジア・ワークキャンプ2018】参加者レポート③(森一樹さん)

JELAは2月14~24日にカンボジアでワークキャンプを行いました。

引率2名を含む9名の参加者たちは、JELAが支援して建設されたプレスクール(幼稚園)用のトイレ敷設工事その他のボランティア活動を行いました。また、現地の学校の子どもたちと遊び、カンボジア・ルーテル教会の青年会や礼拝に参加して他国からのボランティアと交流を深めました。

カンボジアの歴史と文化を知るためは、キリングフィールド、拷問博物館、地雷博物館などの見学や世界遺産アンコールワット遺跡の観光も体験することができました。

以下は、森一樹さん(ルーテル市ヶ谷教会)のレポートです。

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私にとって今回のカンボジアワークキャンプは、たくさんの「凹み」が与えられたキャンプでした。10日間の日程で行われたキャンプは、プノンペンでの歴史の学びやJELAが支援する幼稚園でのワークから始まり、コンポンチュナンのルーテル教会や小学校の訪問、そしてシェムリアップでのアンコールワット遺跡群や街の見学と、とても充実したキャンプでした。そんなキャンプを振り返って、私の心に深く残っているのは特に次の三つの「凹み」でした。

最初の滞在地プノンペンでは、キリングフィールドやトゥールスレン収容所の見学を通して、ベトナム戦争後、激化した内戦の傷跡やたくさんの痛みを目にしました。歴史に残るような大虐殺を行った、ポル・ポト率いるクメールルージュへの強い恐怖感や嫌悪感を覚えたことは言うまでもありませんが、それと同時に、私自身もまた彼らと同じ人間であり、そのような残虐な行為を行い得るということに凹みました。歴史を見ても悲劇を起こしたくて起こした例は少なく、多くは、気づいたら悲劇と化しているように私は思います。また人間がいかに暴力的で罪深い存在であるかは、日々のニュースや歴史、そして聖書が明示していることではありますが、私もそんな罪深き人間の一人であることを再確認させられ、とても暗く重たい気持ちになりました。これが一つ目の凹みです。

二つ目は自身の弱さ・無力さに対する凹みです。プノンペンの近郊にある、JELAが支援する幼稚園では、トイレ設営のワークを行い、コンポンチュナンの教会や小学校の訪問では、そこに通う子どもたちと共に遊び・学ぶというワークを行いました。その中でも特に、トイレ設営では、慣れない作業に苦戦し、手助けに来たはずなのに、技術不足や言葉の壁から、たくさんの手間と迷惑をかけてしまいました。このワークを1ヶ月あるいは1年と続けられるのであれば、技術も言語も身につき少しは役に立てたでしょうが、たった数時間のワークでは役に立つどころか、かえって邪魔をしてしまったように感じました。私たちは「ワーク」をしてきたのではなく、あくまで「ワーク体験」をしてきただけで、本当に「ワーク」をするには、費やせる時間も能力もまったく足りていない。そんな思いでいっぱいになり、自身の無力さを突きつけられました。また、一歩街に踏み出せば、人からの施しで生計を立てている子どもやハンディキャップのある人々にたくさん出会いましたが、私にはその全員に施しができるほどの経済力や時間もなく、ただ静かに、短く祈ることしかできませんでした。以上のように時間的にも能力的にもそして経済的にも今の自分は不自由で、無力であると感じ、大いに凹みました。
ワークに励む森さん(黄Tシャツ)

三つ目の凹みは、自身の忘却に対してです。最後の滞在地シェムリアップはアンコールワット遺跡群に最も近い街であることから、観光客向けのお店やレストランがひしめく華やかな街でした。私たちの滞在先も、ハンモックや屋外プールといった設備が充実した、リゾート地を思わせるようなゲストハウスでした。最初は、「ワーク」キャンプなのだからと自身を戒めるよう努めていたものの、心地よく快適な環境に身を置いていると、悲惨な歴史や自身の無力さにたくさん凹んだにもかかわらず、そんな痛みや凹みを忘れていくような感覚になりました。「あんなに落ち込んだのに、何もできずあんなに悔しかったのに」。そんな感情が日に日に薄まっていくようでした。私たち人間には、辛いことや苦しいことから自分自身を救うシステムの一つとして、物事を忘却できる力が備わっていると私は思います。しかしこの忘却のシステムは時に、忘れてはならない思い出や痛み、そして悔しさまでも忘却させてしまいます。今回はまさにその例であり、そんな自身のどうしようもない忘却にまた凹みました。

これらの「凹み」に対する私の答えは帰国までには見つかりませんでしたが、多くの「凹み」から自身の無知・無力に気づかされ、恥ずかしいと思わされました。そして、それらを忘却させず、克服するためにもっと学びたいと心から思えたことが、このキャンプの一番の思い出であり、収穫でした。

たくさん凹まされたキャンプでしたが、それと同じくらいたくさんの喜びも与えられました。カンボジアという異国・異文化を通して与えられた学びや、新たな友人達との出会いや交流、そして何より、本当の家族と見間違われるほど仲を深めあえたチームメイトの存在。一人でも欠ければこの喜びはなかったと思えるほど、チームメイト一人ひとりの愛にたくさん満たされました。どの恵みも思い返すと胸が温まり、笑みが溢れてくるような素晴らしいものでした。

最後に、このような恵み多きキャンプを企画・運営して下さったJELAとその職員の方々、そしてそのJELAを支える皆様一人ひとりに心から感謝をし、報告を終えたいと思います。

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