2018/03/05

【信仰書あれこれ】今までどうしてこの人の本を読まなかったのだろう

R・ボーレン説教集『喜びへの道』(小澤良雄訳、2008年、教文館)にめぐりあいました。どうして今までこの著者を知らなかったのかと思うほど充実した中身でした。

説教の前後になされたボーレン師の祈りも記されていて、それがことのほか心を打つのですが、加藤常昭氏による解説と訳者あとがきの双方がこの点に触れています。

列王記下20章1~6節 による説教「いかに死ぬか」の後でなされたボーレン師のとりなしの祈りを以下にご紹介します。1989年東欧革命・1990年東西ドイツ統一・1991年ソ連崩壊という一連の歴史的大変動直後の、1992年2月に行われた説教です。


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三位一体の神よ、私たちはあなたに思いを向けます。
私たちがあなたにふさわしく生きることを始められるために、
いかに死ぬかを学ばせてください。

死ですべてが終わると私たちが信じることがないようにしてください。
そうではなくて、死を克服されたお方が再び来られることを信じさせてください。

狂気と分裂から私たちを救い出してください。
私たちが天の御父の子にふさわしい心の純一な者となるために、
あなたの光の中に導き入れて、私たちを照らしてください。

あなたの民を顧みてください。
死んだ状態にあるあなたの教会を顧みてください。
監督たちを新しい命へと目覚めさせてください。
説教者たちを新しい命へと目覚めさせてください。
神学者たちを新しい命へと目覚めさせてください。
信徒たちを新しい命へと目覚めさせてください。

あなたのものである死んだキリストの教会を甦らせてください。
すべての民を顧みてください。特に困窮の中にある東欧の民を顧みてください。
かつて諜報活動にたずさわっていた人々を憐れんでください。
また、諜報活動によって苦しみを受けた人々を憐れんでください。
すべての人々に新たな始まりをお与えください。
イスラム圏の民とあなたの選びの民であるイスラエルのために祈ります。
彼らがあなたのお遣わしになったお方を知り、その方の中に安息を見出しますように。

すべての苦しむ人々を顧みてください。
死に直面しているすべての人々を顧みてください。
すべての医師を、看護にたずさわるすべての人々を助けてください。
生きることが重荷となっているすべての人々に、救われた者としての最期をお与えください。
そして、私たちの誰もがたった一人で最期を迎えることがないようにしてください。(38~39頁)

著者は日本と深い交流を持ち文芸にも精通していることから、『源氏物語と神学者―日本のこころとの対話』 という作品もあります。


JELA事務局長
森川 博己

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