2018/03/01

【信仰書あれこれ】修道女のことばをノンクリスチャンがまとめた本

今回は『シスターからのおくりもの ― 心を包む53のことば ―』(中村靖著、2007年、グラフ社)をとりあげます。

著者の中村靖さんはノンクリスチャンで、叔母さんが修道女です。その叔母さんが、洗礼を受ける人のために一年間の勉強会を開き、そこに著者も通いつめて、「難しくなく、古くもなく、現代に生きることば」と感じたものを拾い集めたのが本書です。

全体が「落ち込んでいるときに励まされることば」「幸せになることば」「気づかせてくれることば」の三つに分類されています。私の心を打った表現を以下にいくつかご紹介します。見た目の柔らかさに配慮し平仮名を多用した原文のまま引用します。



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〇 落胆は、メッセージです。
「神も仏もいない」と落胆するような出来事が起こったら、それは神様があなたに送ったメッセージです。あなたになにかを考えさせたい、感じさせたい、気づかせたいと思っているはず。「わたしは不幸だ」と思う前に、考えてごらんなさい。神様から送られたメッセージとはどんなものなのかを。(14~15頁)

〇 つらさのなかに、答えが見つかります。
ものごとが思ったようにうまくいかなければ、だれだってつらく、気持ちが沈んでしまいます。だからといって落ち込んだままでいては、なにも変わりません。つらくても、それを受け止めてみてください。つらさのなかに、答えが見つかるものです。そのつらさは、いまのあなたに与えられた試練なのですから。(22~23頁)

〇 傷つくことは幸せの始まりです。
傷つくことは、悪いことではありません。傷ついたとき、人は苦悩します。そして、幸せとはなんであるかに気づくのです。(54~55頁)

〇 シスターにとっての幸せとは?
「あなたにとっていちばん大切なものは? と尋ねられて、『神様です』と答えられたら幸せです」(92~93頁)

〇 見る目と聞く耳をもっていれば、世のなかのすべては奇跡です。
「いまの世のなか、おもしろくない」とおっしゃる人がいます。本当に、そうですか? だとすると、それはあなた自身が自分を「閉じている」からにほかなりません。見る目と聞く耳をもっていれば、世のなかのすべては奇跡です。もっていなければ、世のなかのすべては当然でしかありません。(98~99頁)

〇 与えられたものは、喜ばなければなりません。
養護施設で奉仕をしている若いシスターが、ある日、難題に直面しました。「用事があるので、しばらく(障害のある子を)預かっていてほしい」と、子どものお母さんに言われてどぎまぎしたというのです。それでつい、「どうすればいいのかわかりません」と言い放ってしまいました。するとそのお母さんは、静かに答えました。「わたしだって、(この子を)与えられたんですよ」。シスターの心は、きゅっとしめつけられたように、苦しくなったといいます。お母さんのことばで、なにが大切だったのかに気づいたからです。(122~123頁)

この最後の文章を読むといつも、私の心も締めつけられます。

JELA事務局長
森川 博己

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